南極大紀行


(左): 12月13日に打ち上げられた
気球は順調に周回軌道を描き、8日半
に亘った観測を終えた後、海岸線近く
のロス棚氷上に降下されました。
(右): データや測定器などを回収す
べく、米軍輸送機LC130で出発。
(左): マクマードから約800km、
サイプル海岸(第6話の地図参照)に
程近い南極大陸上のキャンプ地「サイ
プル・ドーム」に降り立つ。
(右): ここでツインオッターに乗換え。
サバイバルキットや工具で既に機内は満杯。
(左): GPS情報を頼りにサイプル・
ドームから飛ぶこと約170km、測定器
が見えてきました。
(右): 最初に目にした姿。
(左): まずはデータボックスを回収。
9億個以上の宇宙線イベントが2テラ
バイトのデータとしてハードディスクに
記録されています。
測定器そのままではツインオッターに
収まらないため解体しなければなりま
せん。予定されていたこととは言え、
手間と愛情を注いだ“手作り”の作品
にメスを入れるのは つらいことです。
(左): 着地地点の様子。天候にも
恵まれ、サイプル・ドームから約1週間
連日のように赴くことで全ての解体を
終えることができました。
(右): しかし、いつ天候が急変するか
分からないため、常に備えは必要です。
解体した測定器は順次ツインオッター
でサイプルドームに持ち帰ります。
できるだけ効率的な輸送を心がけます。
(左): 無事全て片付けられました。
もちろん写真にある旗も持ち帰ります。
(右): 測定器着地の直後に切り離さ
れ3kmほど風で流されたパラシュート
の回収にも赴きました。
地面に凍り付いていたり、雪が覆い
かぶさっていたり、風に煽られたり
しましたが、これも無事回収できました。
再利用のためのみならず環境のため
にも全てを回収できることが望ましいです。
(左): サイプル・ドームの全景。台所
兼 居間のテントハウスが1棟あるだけ
で、マクマードとは大違いです。キャンプ
の維持のために3人が常駐しています。
(右): クリスマスを挟む1週間の間
私たちが寝泊りしたテント。
回収されたデータや測定器要素は
マクマードを経て日本や米国に持ち
帰られ、解析や測定器の再構築が
進められる予定です。

なお、気球の飛行経路は風に左右されるうえ、着地地点の選定には
平坦で かつ クレバスが無い地域である等の制約を受けるため、
回収のタイミングや方法は まさにフライト毎に千差万別です。
各飛行機のスケジュールの都合や天候にも大きく影響されるため
常に臨機応変の対応が求められます。

サイプル・ドームの御三方とパイロットを始めとするツインオッターの
関係者の方々には大変お世話になったことを申し添えます。