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計画概要 |
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- 目的
- GAPS(General Anti-Particle Spectrometer)計画は、宇宙線中に微量に含まれている反粒子(とりわけ未発見の反重陽子)の高感度探索を通じてダークマター等の初期宇宙物理の課題に迫ることを
主目的としています。
宇宙線反重陽子は超対称性粒子ニュートラリーノ等のダークマター候補の対消滅等を起源として極微量が存在している可能性があり、その検出に最適な低エネルギー領域(運動エネルギー=数100MeV)にて探索を行います。
- 独創的な検出方法
- GAPSは反粒子の粒子識別法として、宇宙線反粒子と測定器ターゲットとが形成するエキゾチック原子の崩壊過程から生ずるX線や荷電粒子を利用する、というオリジナルな手法を採用しており、その原理はビームテストで実証済みです。
この他に類を見ない独創的な手法により、GAPSは最高感度での反粒子探索を目指します。
- 他の実験とのシナジー
- ダークマターの解明は宇宙物理学や素粒子物理学の最重要課題の一つであることから世界中で多くの実験計画が乱立していますが、その中でもGAPSはユニークな位置づけにあります。
宇宙線反重陽子をプローブとし、しかも有意な低エネルギー領域で有意な高感度での探索が見込まれる実験計画は、GAPSのみです。
また、宇宙線反重陽子探索がカバーするダークマター理論のパラメータ領域は、いわゆる直接的な探索や加速器による人工生成など他のダークマター研究手法と相補的な領域を占めています。
そのため、GAPSはダークマター解明への多角的なアプローチの一翼を担うことができると期待されています。
- 研究体制
- GAPSは日米伊を中心に約60名が参加する国際共同実験です。
低エネルギー反粒子の高感度観測に適した南極周回長時間気球実験を2021年以降に複数回実施することを当面の目標とし、測定器の開発などを進めています。
2012年にはJAXA大樹航空宇宙実験場(北海道)にてプロトタイプ測定器を搭載しての気球実験を実施し、実際の気球フライト環境下でGAPS測定器の基本要素技術の実証に成功しました。
日本では主に科研費(20740166, 22340073, 26707015, JP17H01136, JP17K14313, JP18K13928, JP19H05198, JP20K04002, JP20K14505, JP22H00147, JP22KK0042, JP22K14065, JP22K20375, JP23K03436)、JAXA宇宙理学委員会経費(搭載機器基礎開発実験経費、戦略的開発研究費)、JAXA小規模計画経費、住友財団基礎科学研究助成費、三菱財団科学研究助成費の支援を、米国では主にNASA/APRA経費(NAG5-5393, NNG06WC06G, NNX09AC13G, NNX09AC16G, NNX17AB44G, NNX17AB45G, NNX17AB46G, NNX17AB47G)やNSF経費の支援を、イタリアでは主にINFNやASI経費の支援を受けています。
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